2013年9月7日土曜日

2013 劇団通信9月号

 電車の中でのこと、90歳くらいのお年寄りの男性がしっかりと吊り革につかまって立っていました。誰か席を譲ってあげる人はいないかな?と見ていると50代くらいのしっかりした男性がすっと立ち上がってさりげなく「どうぞ」と声をかけました。するとそのお年寄りは丁寧すぎるくらいに深くおじぎをしてホッとしたように席に座りました。しかし譲った方の男性はそのおじぎを見ることもなく少し離れたところへ移動し背を向けて立っていました。

おじぎをするかしないかは別としてこのような光景は電車の中ではよくあることですが、席を譲るのにはある程度の勇気がいります。この男性のように自分がしたことになんとなく照れを感じる場合は目を合わせることもなく何もなかったかのように振舞うのです。女性同士の場合は笑顔で軽く会釈しあったり会話で感謝の意を表したりしますが、男性はちょっと違うようです。自分の行為に対して周りがどのように思うか、あいつカッコつけやがってと思われやしないかなど周りの視線を意識しすぎる傾向にあるようです。男社会では絶えず他人に気を配り自分だけが突出するのを抑えながら仕事しているからなのでしょうか、平常心とちょっとだけ離れた心の動きを感じるものです。

 人に親切にすることが当たり前のように出来るようになるには、それなりの訓練が必要です。訓練とはレッスンと同じように繰り返しやることです。良い行いを繰り返しやっているうちに自分自身が豊かになっていることに気がつくでしょう。